2023/04/05
No. 863
この春に、短いながらインパクトのある鉄道路線が誕生した。ひとつは東急東横線日吉駅と相鉄線西谷駅を結ぶ新横浜線全通である。結果として都営三田線や東京メトロ南北線とが新幹線新横浜駅とストレス少なく接続できるのは効果的である。運行側の苦心は増えるだろうが、利用者側の選択肢が増える意義は大きい。新幹線開業時はまち外れで畑も散在していた新横浜駅周辺は、かくして時間をかけて、上からJR東海東海道新幹線・JR東日本横浜線・横浜市営地下鉄、そしてこの新線と、異なる鉄道事業者が縦に重なる大ターミナルに成長した。あえて言うならば、新線のホームは地下33mにあり、ここから新幹線ホームまで延々とエスカレーターを経由してゆく手間はあるのだけれども。
もうひとつは既存路線の地下化である。新横浜から新幹線で到着した新大阪から、JR西日本おおさか東線に乗り継ぐと、大阪駅直下のホームに着く。こちらは地下15mで、今のところおおさか東線はここで終点となる。ちなみに、新大阪を出た「くろしお」などの有料特急はさらに先の関西国際空港や和歌山を目指すのだが、数年後にこの地下駅は大阪メトロや阪急電鉄ともつながり、大阪駅の地下は重要なターミナルに仕上がる予定だ。
ところで3月末に、和歌山市とJR西日本と日本通運が連携して、和歌山の鮮魚を「くろしお」に搭載して京都に配送するという実証実験を行った。定着できれば45時間かかっていた配達が24時間に短縮できるし、長距離ドライバー不足にも対応できる。さらに続く鉄道ネットワークの改善もこのような取り組みのバリエーションを拡げるだろう。鉄道同士の接続、あるいは交通事業者の協働によって、人を運ぶ点での利便性が高まるだけでなく、ビジネスの可能性を拡げる結果がもたらされる。交通の新たな発展はいろいろな人のモチベーションを高めているのである。