建築から学ぶこと

2009/09/16

No. 197

スペースとタイム

優れたサッカー選手はゲーム中、球を捌きながらフィールド全体が見えているのだという。このスポーツのシステムを身体で理解できているからであろう。加えて、サッカーは世界共通の大きさのコートで戦っているので、プロに必要な空間感覚を、異なるマッチでの経験を通して磨くことができる。そのほかの球技においても、スペースをマネジメントする才能もしくは技能がゲームを動かしているだろう。タイムマネジメントについてはどうだろうか。やはり切れ目のない45分をどう操るかというサッカーと、切れ目を活用しながら戦うアメフトとは、違った前提に基づくと想像する。それぞれのスポーツごとにあるシステムのなかで、怜悧冷静なプレーヤーが、高いレベルを維持しつづける。

社会システムが見直しの局面にあるいま、こうしたスペースとタイムの同時解決性は注目されて良いだろう。政治家や官僚が制度の再編を口にするとき、それを実現するまでの、あるいは新システムや法律を運用する場面でのタイムマネジメントはきわめて重要だ。これは工程表づくりのことではない。最初のワンプレーにおける圧力・走り続ける能力・ゲームセットの笛まであと3分というときの粘りとは、国際政治や政治改革を乗り切る力と、どこか似たものがある。

ところで、誰でも与えられた時間を時計なしでしゃべるようになれることは可能である。これは技能であって、私もそのための修練は十分積んだ(本当は司会進行を務めて人にしゃべらせ、時間内にまとめることのほうがスリリングで面白いのだが)。こうしたときは、体内時計作動とともに観衆からどうこの時間が感じられているかを見渡しているので、たぶん、スペースとタイムを同時にマネジメントしていると思う。話のプロでもなく、生半可なスポーツマンの私が言うのはおこがましいけれども。

佐野吉彦

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