建築から学ぶこと

2015/05/13

No. 473

架ける橋、支える橋:バンコクにて

長年にわたり、日本建築家協会(JIA)とタイ王立建築家協会(ASA)は、好ましい友好関係を続けている。両協会は相互に大会を訪問しながら有意義な議論を重ねてきたが、今年は、春のASA大会で少しばかりの新機軸があった。JIAはJSB(一般財団法人・国際建築活動支援フォーラム)と協働して、バンコクで2つの行事を設営したのである。JSBはUIA2011東京大会を運営したJOBの後継組織であり、その趣旨を受け継ぎながら、日本の建築界のグローバルな活動展開と、それを担う若い世代を支援してきている。その文脈の中での、ASAとの連携基盤を活かしての試みである。

一つ目は日本の建築作品「JAPAN DESIGN」展の開催(Architect Expo 2015会場内、Impact Exhibition & Convention Center 4/28~5/3)。ここでは日本建築の動向と達成レベルを紹介することとし、<日本の主要な建築団体それぞれが設けた建築賞受賞作35点>(各団体提供のパネル)と<日本デザイン振興会(JDP)主催の「グッドデザイン」特別賞受賞作品>を展示し、<BIMによる設計プロセス>を映像で紹介した。さらに大橋優子さんがデザインした<現代茶室>の実物を設置した。これはJIA神奈川建築WEEK横濱建築祭 2015に際しての企画「茶室デザインコンペ」の最優秀作品である。期間中、ブースに現地の若い世代が多数訪れ、日本建築への関心を裏付けた。また開会式当日には茶室でJIA会長・ASA会長・ARCASIA会長による茶席が設けられ、大いに賑わった。この試みは、友好目的だけでなく、グローバル展開を支える面からも可能な限り継続したいと考える。

二つ目は、昨年からASA-JIA両協会が共同で取り組んでいる<若手建築家の交換研修プログラム>の報告会(Convention Center内、5/1)。ここで、東京で研修した2人とバンコクで研修した2人が1年間の実務と生活の経験を生き生きと語った。なお、安井建築設計事務所は1人を受け入れ、今後1年間も受け入れる。これは研修する個人はもちろん、派遣・受け入れ組織それぞれに良い刺激になり、試みは成功であろう。両協会に友好関係があって始まった企画だが、共同で汗をかいたことで、さらに親近感が高まった。友情とはそうしたものである。

佐野吉彦

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