建築から学ぶこと

2024/02/28

No. 907

沖縄の2月

久しぶりに沖縄に出かけてみると、玄関口の那覇空港もいろいろな世代で賑わっていた。そこにビジネスマンも、ゴルフバッグ族も、修学旅行の一団が共存している。2023年の観光客は823万人で、コロナ流行前の2019年の8割強まで復活している。今年から外国人流入の本格的に復活してくるだろう。ちなみに1月から2月にかけてはサッカーやプロ野球のキャンプシーズンなので、贔屓のチームのユニフォームを着た一群も見かけた。何せ野球は日本のプロ9球団、韓国のプロ4球団が沖縄に集結していて吸引力がある。
沖縄で少し気になることのひとつはDXの取り組みが他県よりやや遅れているところで、これを促進すればインバウンド観光やビジネスがさらに拡大する。もうひとつは、沖縄本島はバス網の充実しているものの大量輸送機関が弱い点である。那覇空港は拡張を重ねて人の動きを受け止めるボリュームになったが、この空港に起点を置く幹線鉄道があれば、経済の活性化を後押しする役割を果たすだろう。新幹線は要らない。那覇と名護はちょうどつくばエクスプレス路線より少し距離が長いくらいであり、那覇市(人口31万)から北へ浦添市(11万)、宜野湾市(10万)、沖縄市(14万)、うるま市(12万)、名護市(6万)と並べてみれば、つくばエクスプレスの規格と速度、駅間隔が当てはまりそうである。
ところで、私は1981年に初めて沖縄を訪れた。当時のバスの乗り心地は良いとは言えなかったが、降り立ったところの竣工目前の名護市庁舎は眩しい限りだった。しかしそれも老朽化が大きな課題なのだという。船を乗り継いで足を延ばした与那国島は、台湾の島影も見え、ラジオ放送が聞こえた。当時は台湾との交易の賑わいの痕跡が残っていた最果ての地だったが、今は安全保障の最前線として広く知られる場所になった。沖縄の多様な変化からは目が離せない。

佐野吉彦

沖縄の春は明るい。

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