建築から学ぶこと

2022/04/06

No. 814

鮮度は根幹 ―企業の新年度

4月1日になると職場に新人が入ってくるので、例年のように会社の考え方を伝えたり、講義をしたりする。ここで毎回同じ語りにならないのは、時代が動いていることもあるし、相手から伝わる空気が違うこともある。役目については20年以上同じ日に続けてきているから、新人が少ない時期や、災害が前面に出る年があったりした。ここ1-2年は、COVID-19の困難のなかで働き方の多様化も進み、学生と企業の関係も、社会全体のコミュニケーションの取り方も変化している。同じ話をする方が不自然だというわけである。一方で、組織論的に言うなら、こういう節目で新鮮さがあることは、組織の鮮度を示す指標になる。それは迎える側に対しては重要なところだと思う。

もっとも、前回取り上げた「内田祥哉は語る」で語られているように、「同じ講義を毎年するとこっちが飽きちゃうのよ」ということはある。たぶん内田さんのこの表現は照れ隠しで、そう言いつつ毎年自らのハードルを上げていたのだろう。いずれにしても、創造を旨とする組織は常に新しくなくてはならない。建築設計者が建築主との関係を保ち続けるためにも新鮮さは不可欠で、その趣旨に沿って技術の最適解の追求やデータの上手な活用があるわけで、ここは新人には忘れずに伝えるようにしている。

今年のメッセージでは、我々がいままさに環境の危機や平和をめぐる問題と隣りあっている現実にも言及した。さらに念を押したのは、建築に関わるプロフェッショナルには、社会の課題に対して、先取りした提言・発言をおこない、望ましい社会のありかたを打ち出すミッションがあること。建築が実際にどこまでやり切れるかでためらうよりも、建築ならできる、建築だからこそできることが必ずあるはずで、それを信じ切れるかどうかはプロとして非常に重要なところなのである。

佐野吉彦

花は開く、季節はめぐる

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