建築から学ぶこと

2012/11/07

No. 349

バリに咲く花、咲かせる花

バリ島に、現地2泊という短い滞在をした。ARCASIA(Architects Regional Council ASIA:アジア建築家評議会)の大会に参加するためである。ARCASIAは1967年にインド・スリランカ・パキスタン・マレーシア・シンガポール・香港によって設立され、現在は18カ国(*)で構成される。加盟団体のJIA(日本建築家協会)・芦原太郎会長は、大会に続いて開催の理事会までの一連の行事に参加した。私の参加は大会だけだったが、ここではまずいくつかの講演を聴講した。開会式来臨のインドネシア共和国・観光クリエイティブエコノミー省のパンゲストゥ大臣が、これからのメガシティ等の課題への取り組みなどには、日本の先進事例を参考にしたいと述べていたのは印象的だった。UIA第4地区(アジア・オセアニア)の委員会には発言者として出席したが、日本から紹介した<次世代のための国際間インターンシップ交換プログラム>は関心を引いたと思う。

それらに加えて、多くの古い友・新しい友と交歓することができたのはさらにうれしいものだった。この流れの中で、バングラデシュやインドネシアの文化的・社会的特性に触れることができた機会は、とても興味深い。大会恒例の多国籍ワークショップ「ステューデントジャンボリー」に参加する若いプロフェッショナルたちの眼の輝きも素敵なものがあった。

今回、これらの動きを司るシェフは国広ジョージ・ARCASIA議長(任期2011-12)である。この組織はUIA(国際建築家連合)の下部組織でもなく、また政治的にデリケートな問題を調整する場でもない。むしろ共有すべき課題に向けて柔軟な連携を進めてゆく広場というべきものである。そこにおいて、建築家のプロフェッションをポジティブに位置づけること、人と人とをやわらかく結びつけることにおいては、国広ジョージ氏は適役であった。次の2年を取り仕切るのはマレーシアのペイ・イン・タン女史。離れている要素を橋渡すことができるのは人間が有する力であるが、ARCASIAとはその手腕が大いに発揮される空間である。かれらのさらなる活躍を祈りたい。

佐野吉彦

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