2014/07/09
No. 432
前回紹介した「シカゴ建築家宣言」は、AIA(アメリカ建築家協会)大会で12名の建築団体代表によって、確認がなされたものである(註)。内容は、1.世界各地で社会が直面する課題に対し建築家が有効で協力的なやりかたで立ち向かうために、知識と情報の共有が重要であること。2.建築家のリーダーシップとは、デザインによって社会に働きかけて行動を起こし、今ある社会や環境、倫理をめぐる問題に立ち向かってデザインすること。3.建築家には、気候変動、低炭素化、公益と将来のために復元性のある建築づくりに対応したデザインを行なう責任があること。この3事項である。
2014年のこの大会が開かれたシカゴでは1993年にUIA(国際建築家連合)大会が開催されており、ここで宣言文「持続可能な未来に向けての相互協力することの宣言 Declaration of Interdependence for a Sustainable Future」が採択されている。それを受けてUIAワークプログラム「未来の建築(Architecture for the future)」がスタートし、JIAはその議長国となり、岩村和夫氏がリーダーを務めた。その後1999年に発効した「建築実務におけるプロフェッショナリズムの国際推奨基準に関するUIA協定」、日本を含む自然災害や多くのテロや社会事件が続いたことをふまえて読むと、今回の宣言文は小ぶりなものであるが、時代を越えたつながりと、継続する意思が感じられる。
なお、AIA大会のテーマ「Design with Purpose」には、デザインによって立ち向かおう、とのメッセージがこめられている。この街シカゴは、サリヴァンやミースらが現代都市とオフィスの普遍的な型をつくりあげたように、世界に呼び掛けるエネルギーがずっとずっと宿っている。そのポテンシャルは、たとえば今勢いのあるJeanne Gangが設計したAqua Towerに見られる、住み手と都市との快い響きあいからも感じ取ることができる。
[シカゴ建築家宣言に署名した国と機関]
アメリカ/欧州協議会/オーストラリア/コスタリカ/ブラジル/メキシコ/米州協議会/韓国/UIA(国際建築家連合)/日本/カナダ/イギリス(佐野は、今回の大会に芦原太郎・JIA会長代理として出席し、署名)