2018/09/19
No. 639
日本の建築界の国際活動は、旧・日本建築家協会が1955年にUIAに加盟して始まった。1967年に6か国で設立され、現在21の国と地域で構成される<ARCASIA(アジア建築家評議会)>には、まだ新日本建築家協会と呼ばれていた時期の日本建築家協会(JIA)が1991年に加盟している。その後の建築界のエポックとしては、1997年に日本建築士会連合会によって<日韓中建築士協議会>が始まり、2000年に日本がAPECエンジニア、2005年にAPECアーキテクト制度に加わった。そして2011年の東京に、建築界共同で<世界建築会議(UIA2011)>を誘致したのち、2018年にJIAがARCASIA大会(ACA18)を開催した(明治大学、9/10-14)。
マーケットとしてもアジア圏は全体に勢いがある。以上の変遷は、それをまさに裏付けている。また、ここには環境問題、災害との向きあい、都市への過剰な集中、貧困の克服と居住の確保など、広域に共通する課題も多い。ARCASIAは解決への方向性を共有する場になってゆくだろう。一方で、高齢社会の課題に直面している日本に対置するように、インドやパキスタンなどの西アジア諸国は、厚みのある若い層をどのように育成してゆくかのテーマがある。ここでお互いの情報やノウハウを積極的に重ねあわせると、地域発展を連携して進めることにつながるし、両国にとってビジネスチャンスになる。今後も日本はARCASIAの大会や委員会の世話を続けるべきである。
ところで、今回はARCASIAとJIAの年次大会日程が接続されたことで、1週間の長期間開催となった。それだけでも対外的な印象度も高まった(はずだ)が、JIAの建築家が国際的な事情を知る良い機会になったと思う(海外が日本を知る、という方向もあったかも)。専門家団体というのはとかく内向きで、新たな視点獲得や社会への発信がおろそかになりがちだから、視点と視野の異なる団体が年次大会を一緒に開催するのは悪くないことだ。