建築から学ぶこと

2014/09/03

No. 439

交通ネットワークと国際ビジネスの広がり

羽田空港国際線ターミナルビルに「はねだ日本橋」という<装置>が登場した。チェックインカウンター上部の4階フロア通路にその横姿が望める。江戸の街のイメージでつくられた商業エリアのゲートウェイとなるものだ。2010年にスタートした国際線専用ターミナルは増便とともに施設拡充が進み、東京の表玄関の賑わいも一層増すことになった。振り返ってみれば長年、首都圏の国際機能は成田が担うものと定められ、羽田の国際線再開プランも長距離便は対象外とされた時期があった。羽田の国際線はさらに充実を続けるであろうが、成田とはうまく役割分担をするのが賢明である。むしろ、両方を駆使しなければ需要に対応できないほどに国際ビジネスと空路ネットワークを拡大させる必要があるのではないか。

ところで、商品供給や物流の改革は、いかに「オムニチャネル」への対応、すなわち多様な購入手段へのスムーズな対応がキーワードとなっているという。交通においても、選択の自由度も多様化し、どの経路を経ても快適に利用できることが原則となってきている。そのことは関西圏においてこそ重要で、空路も新幹線も陸路もさらに使いやすいかたちに改善すれば、関西圏への流入をアシストすることになる。関空はFEDEXのアジアハブとなり、LCCネットワークの要になるなど、2012年に関空と伊丹が一体的運用の企業になって以降、多くのエポックが生まれているが、今後は関空と伊丹の連携(さらには神戸も)は新しい広がりを生むであろう。

たとえば、伊丹と上海虹橋あるいはソウル金浦のような都心近接型・短時間フライトの空港ネットワークは、関西圏だけでなく、日本の国際ビジネスにも大いに有効との提言がある。もちろん、空だけではなく、リニアが大阪まで延伸する時代には、空と陸を組み合わせる改革によって、より快適にオムニチャンネルに対応できるようになる。

佐野吉彦

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