建築から学ぶこと

2025/03/19

No. 959

大阪駅前が動きだす

大阪・関西万博開幕が近いタイミングで、大阪では交通施設のリニューアル、駅周辺整備が大きく進んできた。JR大阪駅北側にあった梅田貨物駅跡地も様変わりし、グランフロントに続くグラングリーンの開発が、順を追って形が整ってきた。ここに昨年できあがった大きな緑地「うめきた公園」は新鮮なインパクトをもたらし、すでに大阪駅前を象徴する風景として定着している。また、南西側の旧大阪中央郵便局跡にはJPタワーが昨年誕生し、JR大阪駅の改札口の新設もあって、阪急百貨店周辺に重心が寄っていた人の流れが、北と西にどんどんふくらんでいる。
もともと梅田エリア全体にあるさまざまなポイントは、アメーバ状に広がる巨大な地下街によって結ばれてきた。このところは、デッキを介して空中レベルでもアメーバが出現していて、ブリッジが自然発生しているように見えて面白い。それらは積年の構想どおりというより、現実的につながりを得ていった感じである。いずれにしても、地中地上にわたる立体ネットワークは世界でもあまりないのではないか。
3月にはグラングリーンのあるエリアの隅石の場所に、商業ビル「うめきたグリーンプレース」が誕生する。ここはデッキと大階段が空中と地上を結ぶ結節点となるが、地下にはJR大阪駅の地下ホームがすでに運用されている。もう少し先になると、ここから大阪メトロのなにわ筋新線に直通するルートが竣工し、関空や和歌山への連絡が至便になる。さらに様々な私鉄が乗り入れることになれば、このグリーンプレースもどんどん変化してゆくに違いない。必然的に賑わいが駅周辺と沿線に染みだしてゆくはずである。
という次第で、順を追って都市が進化してゆくのは連続ドラマを見るようでもある。まちづくりに手間がかかっているところは、民主的な手順だと考えよう。でも、万博の開幕に全部がうまく揃わないのは少しもったいない印象もあるが。

佐野吉彦

新たな隅石。

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