2009/02/12
No. 168
世界各国の建築家の団体によって構成されるUIA(国際建築家連合)が取り組む活動の中で、建築家という職能を支えるコモンセンスを基盤形成してきたことは重要である。「建築実務におけるプロフェッショナリズムの国際推奨基準に関するUIA協定」(1999年)は、建築家がリーダーとして的確な役割を果たせるかを、時代に先駆けて問いかけていた。この世界には多様な生活と価値観があり、グローバリゼーションのなかで固有の文化をどう継承するかという課題があり、先進国と途上国の格差などの、経済危機以上に深刻化する社会問題がある。文化と経済をともに扱う建築設計という仕事が、これらに鈍感であってよいわけがない。UIAが目指したものは、こらからのプロフェッショナルが共有するべき意識をどう育成するかというテーマであった。
その趣旨からすれば、3年ごとに開催される大会・総会は重要な節目となるはずで、それが日本開催であることの意味は日本の建築界にとって大きい。UIA 2011東京大会とは、来臨するイヴェントではなく、プロフェッショナルとは何かを掘り下げる好機と捉えるべきである。すでにUIA 2011東京大会日本組織委員会(JOB)という大会運営組織が活動しており、ここに建築関係5団体が協調して加わっている。新たな潮流を起こす準備もすでに整っているわけである。
去る2月6日に東京で開催された第1回UIA/JOB調整委員会にはルイーズ・コックスUIA会長ほか副会長諸氏、ガエタン・シュウ前会長らが参加し、実務面での調整が本格化した。2011年9月の開催までの時間は十分ではないが、大会が世界の多様さ・世代の多様さにいかにフィットするか(あるいは、魅きつけるか)、そこで実りの多い交流と議論をどう起こすかを模索・立案することになる。限定的には対話はすでに始まったが、さらに世界と対話を広げてゆく2年半となりそうである。