建築から学ぶこと

2010/04/14

No. 225

継続学習をめぐる、この10年

日本における建築設計者の継続的な能力開発は、知事指定講習の開始(1986)から意識化された。建築士会と建築士事務所協会が運営したこの取り組みは、その後の建築士法改正(2008)に伴って、建築士定期講習、管理建築士講習の義務化のなかに吸収されてゆくこととなった。この時期には建築士試験受験にかかわる指定科目の要件が求められる方向(2009から)、建築士試験受験要件のための大学院生のインターンシップ(2009から)、国立大学の独立行政法人化(2004)、専門職大学院制度の誕生(2003)といった動きが起こっている。これら多様な方向性は、資格取得・維持にかかわる厳密さへの要求もある一方で、産学の連携を促す動きとも言える。今後は、学ぶチャンスも国内に閉じないチャンネルが増加し、人材育成の面で、時間をかけた多様な経路が生まれることが予想できる。

教育機関と同じように、単位によって継続学習の成果を計るという視角では、日本建築構造技術者協会(1998)、日本建築家協会(2000試行、2002実施)、日本建築士会連合会(2002。専攻建築士制度は2003)、建築設備技術者協会(2003)が所属する会員のためのCPD単位の認定制度を開始していた。それらは、先例としてアメリカ建築家協会(1995)、王立英国建築家協会(1993)の取り組みなどを参考にしている。これに伴って、日本建築学会が参加して、建設系12団体による建設系CPD協議会(2003)が生まれ、学協会を広く束ねる動きも起こった。これは土木や都市計画にもまたがる大きな動きであった。

これを受けて建築CPD運営会議(2006)が発足し、建築系団体のなかで相互調整・一本化する取り組みが始まった。社会制度としてのCPDという視点においては、今回ここに挙げた建築団体は、有力なプロバイダーとして社会が期待する教育基盤となってゆくだろう。それぞれの団体の資格制度・研修制度を維持するという発想から始まったCPD制度が連携し、建築と建築界のクオリティと潜在能力をそれぞれの角度から長期的に保証する制度へと成熟してゆく。そこで改めて問いなおされるのが、各団体の真の有用性ということになるだろう。

佐野吉彦

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