2019/09/25
No. 689
昨秋のソウルの話題を第643回で触れた。そのときの私の訪問目的は2017年開催のUIA(国際建築家連合)大会の熱気をつなごうとするシンポジウムへの参加だった。今年2019年の秋はさらに多くの建築イベントが企画され、民間とソウル市が一体となって建築の価値をさらにクローズアップしようとしている。春には市主導でSeoul Hall of Urbanism & Architecture(ソウル都市建築展示館)が開館しており、このスペースやDongdaemun Design Plaza(DDP,設計:ザハ・ハーディド)などを使ったSeoul Biennale of Architecture and Urbanismが9月7日から11月10日まで開催中である。
同時期に、KIA(韓国建築家協会)が主催するKIA Convention & Exhibitionは9月20日から1週間、日本統治時代にできた旧ソウル駅舎(1925,設計:塚本靖)を内部改装したギャラリー Cultural Station Seoul 284などを会場としている。今回は若い建築家の作品やアイディアの展示、海外建築家による講演シリーズなどが目白押しだ。私はこちらのオープニングに招かれ、人通りの多いエントランスでのテープカットに多くのゲストたちとともに加わった。そこには政府の文化・スポーツ・観光担当大臣や、ソウル市副市長に加え、UIA・米国建築家協会・王立英国建築家協会・アフリカ建築家連合の会長らがいる。その招待客の顔ぶれに、主催者のなみなみならぬ意欲を感じた。
今回は短い滞在であったが、この国でいつも感じるのは、かれらが東アジアの中で確かな存在感を構築しようとする意欲である。そして、うらやましいのは、長年にわたって都市行政と建築家との連携が功を奏してきたことである。これを眺めると、まもなく10月26日・27日に開催される「生きた建築ミュージアムフェスティバル大阪」(イケフェス)でも、ソウルのような、建築サイドからの積極的アピールがあってもいいと思う。今年からOpen House Worldwide(建築公開イベントの国際ネットワーク)に加盟したことでもあるし。