建築から学ぶこと

2019/10/23

No. 693

宇都宮発の、快いスピード

1980年に宇都宮で世界選手権ロードレースが開催された。それを端緒として1992年にジャパンカップサイクルロードレースがスタートする。今年もこのワールドクラスの自転車レースは市の西部、田園が山塊と出会うあたりの一般道144.2キロ(約10キロを14周回)を使っておこなわれた。もうひとつ、2010年からは市中心部でのクリテリウムと呼ばれる38.25キロのスピードレースが始まっており、この季節の宇都宮はレース開催の2日間にファン約13万人が集う、自転車ファンにとって祝祭の地となっている。
縁あって、私は緑に包まれながら、前者のロードレースを観戦する機会を得た。急坂の見どころには見巧者が位置を確保し、スタート地点ではワインや食を楽しみながら時間を過ごしている。最後の3周くらいになると、過去のヒーローが中継映像を見ながらで競り合うレーサーの動きを解説。最後には手に汗を握る展開となってくる。運営は実にスムーズに運んでおり、そこにいる選手もスタッフも、観衆も警備も皆がいい時間と風景をつくりあげている印象があった。マラソンと同じく、長時間にわたって道路占用する競技は、このような協力関係が欠かせない。地域活性化の好例と言えるだろう。特に今年は、前週の水害被害を克服しての大会開催でもあった。ここにも見事な連携があった。
実はレースのスタート地点あたりを敷地に想定してBIM設計コンペが開催される。これまで栃木県建築士事務所協会が手掛けてきた学生向けのアイディアコンペが、今回から実務者も参加可能となった(今年から日本建築士事務所協会連合会が共催)。10月31日正午まで受付、11月3日-6日に72時間制限で実施という日程である。BIM普及のスピードを高める取り組みが、祝祭的気分で競うレース、健康なスポーツを題材としたのは、なかなか良い目の付けどころである。

佐野吉彦

号砲を待つレーサーたち

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