建築から学ぶこと

2017/09/27

No. 591

未来をつくる仕掛け

政府が今年6月に閣議決定した成長戦略「未来投資戦略2017」は、生産性の長期伸び悩みや新規需要創出の弱さを課題と捉え、[Society5.0の実現に向けた改革]というキーワードのもとに重点分野を設定している。この[Society5.0]でイメージされる社会では、IOTなどの先端技術を賢く使って個のニーズに対応でき、社会にあるさまざまな課題が解決されるのだという。重点分野には健康寿命の延伸、移動革命、ロボット革命などがリストアップされている。ページをめくると建設業に特有のテーマでは現場の生産性向上や住宅市場の活性化なども含まれている。それらの実現に規制改革を積極的に使おうとする視点は現政権らしい力点であろうか。
この「未来投資戦略2017」は日本のグローバル展開を力強く支えるという政策で締めくくられる。ドイツが2011年に掲げた[Industry Industry4.0]の向こうを張ったキーワードを謳うからには、国外を意識したメッセージは当然伴うわけである。もちろん、それぞれの民間企業にとっては、政府の明るい展望に頼るだけではグローバルな成果を手にすることはできないのであるが。
さて、建設産業のなかで、この一年ほどの[働き方改革]と[i-Construction]の進展は目ざましいものがあった。それらは地に足の着いた取り組みであるだけでなく、「未来投資戦略2017」を現実に先取りしている。このスピードで推移すれば、新たな技術とシステムを基盤とした建設生産の大転換はそう遠くないように感じられる。ただし、そのなかでの課題は、生産プロセスで扱われる技術情報の質、技術情報を用いて知的資産を生み出す技術者の質であり、この両課題はじっくりとした涵養・育成が必要である。質のバランスが崩れれば、社会のレベルを落としかねない懸念はついてまわる。基準や教育プロセスのつくりかたについて、教育機関や専門家団体は着実な提言をなすべきであろう。

佐野吉彦

アーカイブ

2024年

2023年

2022年

2021年

2020年

2019年

2018年

2017年

2016年

2015年

2014年

2013年

2012年

2011年

2010年

2009年

2008年

2007年

2006年

2005年

お問い合わせ

ご相談などにつきましては、以下よりお問い合わせください。