2022/03/02
No. 809
男女雇用機会均等法は1986年の施行である。1999年の改正で男女間差別に禁止規定ができたが、そこから20年ほど経た現在は、そのころの実情からは大きく進歩している。21世紀を前にしたその時期には、NPO法の成立が1998年、京都議定書が1997年などと、重要な布石が打たれた。環境に関する取り組みもこの2-3年で世界が前のめりになるくらいのスピードに変わったことでわかるように、流れが定着するには20年はかかってしまうということである。ちなみに、20世紀末では、まだ通勤電車の一部でたばこが吸えていた。
そういえば、このところ北海道の石狩湾にニシンが戻ってきているらしい。20世紀末の1996年に道庁は「日本海ニシン資源増大プロジェクト」をスタートさせた。<ニシンの産卵場所の形成、放流後の資源管理を行う>ことを目的として稚魚の放流を始めたのである。少なくともある時期まではニシンの漁獲量を下支えするような取り組みだったが、この数年は早春の時期、湾のあちこちで産卵のために押し寄せる「群来」(くき)が見られているようだ。これも20年にわたる努力の持続が成果を導いた例である。きっかけづくりはもちろん重要だったが、結果を出すまでの歳月はさらに重要である。
ところで、毎週コラムを書いていると、その逆の例を書き落とすわけにはゆかない。1991年にソ連が解体するとは想像しなかったが、明るい予兆との捉え方はあった。その後、世紀が変わるころに台頭したプーチンが新たな強者振りを発揮しはじめ、振り返ればそこからの20年先に衝撃があったかたちである。20年という時間は変化が緩やかに見えて、その間の粘りが良くも悪くも大きな変化をもたらす準備期間となることを、様々なニュースから思い知らされた。