2024/12/04
No. 945
今年は国内外で重要な選挙が行われた年だった。政権交代という結果につながったものもあり、政権側が勝利したケースでも、結構際どい勝負になっている。個別の論評はしないが、既成の政治を見直す節目にはなったようだ。特筆すべきなのは、日本では公職選挙法改正(2013)で解禁されたネット活用の選挙運動が、選挙結果に大きな影響を及ぼしていたように見えることである。ここ何度かの米大統領選挙でも、ネットの影響力は激しく高まっていた。そこにメディア・リテラシーの歯止めが効いているかについては、ぼんやりとした不安がよぎるのだが。
もっとも、ネットをネガティブに捉えては何事も始まらない。私が関わっているボランタリーなコミュニティ活動のひとつは20年、またひとつは25年を迎える。これはその始まりのあたりにNPO法施行(1999)があり、その持続に尽力する過程にクラウドファンディング(2006頃)やふるさと納税(2008)のスタートがあり、そしてSNSが人をつなぐインフラになったのもその頃である(2006頃)。情報も資金も空を飛ぶ。コミュニケーションや資金調達の壁が低くなり、ネットの恩恵は十分受けてきている。
一方で、指定管理者制度(2003)や公益法人制度改革(2000-9)は、バリエーションが広がってゆくコミュニティ活動に対し、より高い社会的責任や明瞭さを求めるものであった。逆説的ながら、見えないものを見えやすくしようとしている。手間はかかりそうだが、日本社会にはバランスを取ろうとする見識は備わっているようだ。現実の社会では、今年はマイナーな事件から国際情勢に至るまで、プレイヤーたちの道徳/モラルの欠落が大きな課題になった。おそらくすべてが過渡的な状況にあるのだろう。それでも私は保守的な形に立ち返れ、とは言わない。でも、少なくとも、生徒に賢い生き残り方を伝えるだけの教育機関は反省する必要はありそうだ。