2016/06/22
No. 528
札幌市電は、路線が次々と廃止されたのち、40年以上にわたり「南4条西4丁目」(すすきの)の電停から始まり、西へ「C型」にぐるりとまわって「南1条西4丁目」で終点になっていた。2015年、途切れていた3ブロックのミッシングリンクが完結し、ループ線化した。新たな区間は道路中央ではなく歩道脇を走り、現実的な解決に導いたところは興味深い(サイドリザベーション方式という)。環状鉄道は運用が効率的でわかりやすく、さらに新たなつながりが生まれるだろう。
環状鉄道の先例はいくらでもある。最も純粋なループが山手線で、北京やベルリンの地下鉄も同様である。環状路面電車については、高雄(台湾)での建設が進んでいる。これら都市各駅を均等に扱う運用に比べると、郊外路線が乗り入れる大阪環状線や、折り返しがある都営大江戸線は、その変形ということになる。理論的には、環状鉄道と放射状の郊外路線を等間隔に配置することで都市はバランス良く発展するものである。ここまで東京が発展してきたのは、概ねそうしたかたちを追求してきたからに他ならない。きっとPASMOやSUICAなどのカードが10年早く導入されていたら、さらに東京は発展していたと思う。
札幌では、市電が脇役に追いやられていた間に地下鉄網が充実し、札幌駅から西4丁目に延びる地下歩道も整備された。それらは大きな相乗効果を持つものと想像する。さまざまな手段によって人が流動する都市には可能性があるし、視覚的にはお互いに弾み感を与えあうものだ。それでもこれら異種の公共交通システムの乗り換えポイントはまだまだ改良の余地がある。建築と土木と、グラフィックデザインなどがうまく統合できれば、都市は美しく快適になるだろう(駅ナンバリングシステムが効果的だとは思わない)。