建築から学ぶこと

2013/07/24

No. 385

さて、エネルギー政策の展開は

決断し実行するのは政治の使命なのだけれども、議会という組織体に期待したいのは長期的視野に立った評議である。どうしても選挙では個々の主張が前面に出るのだが、議会の一員になったら、一緒になって腰を据えた議論を積み重ねることを望む。たとえばエネルギーにかかわる課題は複合要素から成り立つ。原発をめぐる今後・エネルギー需給状況・地球温暖化の動向をふまえて冷静に政策を構築し、手順を整えて課題を解かねばならない。ぜひ、政争抜きで進めてほしい。

いま日本のエネルギー政策は、エネルギーの安定供給を基軸とした<エネルギー効率の改善>と<新エネルギーの導入促進>を両輪に置く。それを背景にして、昨年7月に施行した「再生可能エネルギーの固定価格買取制度」が着実に普及している。制度の手直しが将来あるとしても、この動きは適切に育てたいものだ。電力会社や自治体、多くの民間企業が制度活用に取り組んでおり、メガソーラー発電所(太陽光発電所の中で出力1メガワット以上を指す)も80か所ほどあるといわれる(2012年3月現在)。ソーラーパネルは技術もデザインもまだまだ改良の余地があるが、途中で挫折が生じないよう注意を払わねばならない。ここでは、政策・制度の有効性も、日本の技術の信頼性もともに問われている。

環境事業は、民間企業にとっては企業価値を高める可能性があり、自治体の財政危機を切り抜ける切り札になるかもしれない。それぞれの思惑は結構なこととして、環境もエネルギー問題は、地域や国境を越えるグローバルなテーマであり、個々の成果が日本や世界の公益につながることを忘れてはならない。とりわけ、東日本大震災からの復興は国際的にも注目を受け続けており、新エネルギーへの取り組みが進む東北地域において手ごたえある成果が出ることは、日本発信の意義あるメッセージとなるだろう。

佐野吉彦

アーカイブ

2024年

2023年

2022年

2021年

2020年

2019年

2018年

2017年

2016年

2015年

2014年

2013年

2012年

2011年

2010年

2009年

2008年

2007年

2006年

2005年

お問い合わせ

ご相談などにつきましては、以下よりお問い合わせください。