建築から学ぶこと

2024/04/10

No. 913

社会システムを改善するきっかけに

年初めの能登半島地震は衝撃的だったが、先日発生の台湾・花蓮県の地震も甚大だった。後者では、官民が連携しての緊急支援がうまく機能したことが話題になっている。これは行政とボランティア団体の間の日頃からの信頼関係が生み出したものであり、手順が身についていたと推察する。台湾の人たちによれば、東日本大震災などでの日本の取り組みを参考にしながらさらに発展させたものでもあるという。もっとも、日本では、被災度区分判定を中心に行政と建築団体が協約を結んで役割分担するケースは多いので、これに連携のバリエーションを加えたいところである。今回の台湾の良い成果は日本が逆に学ぶとよい。むしろ情報を共有しながら、東アジア圏だけでも、国を越えた緊急支援が迅速にできるようにすれば、地域全体にとってさらに有益ではないか。

さて、今春は目に見えて外国人観光客が戻ってきている。昨年の訪日外国人数は2500万人に戻ったが、今年は2019年の3000万人を取り戻すのだろう。観光客の満足度も高まっている。その一方で、在留外国人は昨年半ばの時点で322万人であり、こちらは漸増傾向にある(出入国在留管理庁データによる)。このままのペースで行けば2070年には人口の12%が外国人となるから、多国籍化が進むのは確実である。それが日本の活力となると想像できるから、ポジティブに対応したい。そのためには、共生する社会、外国人が溶け込みやすい社会を支えるために、システムの改善を進めなければならない。教育、雇用、選挙権や婚姻に関わる制度など、先送りはもはや難しいのである。

以上触れた、一見異なる事例には、日本の社会がこれからの10年を生き延びるヒントが潜んでいる。これまでの社会システムの質を保ちながら、海外からの眼差しを加えることによって、日本が柔軟に進化するとよいと思う。

佐野吉彦

日本らしいかたちにも、実は進化はある(御霊神社、大阪)

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