建築から学ぶこと

2020/01/29

No. 706

存在感を発揮する年、2020。

将来、夏季オリンピック・パラリンピックは夏に開催できない可能性がある。2050年の気象予測を分析すると、世界の大都市の6割超でマラソンなど屋外競技の熱中症リスクが高まるからだという(日本経済新聞2020.1.25)。当面これを解決するには開催地の限定か、時期の変更という選択になる。記事は、夏の開催を至上とする米放送局、あるいはその背景にあるプロスポーツの意向に振り回されないよう、収益構造を多角化する可能性を提案している。ネット企業や新興国企業が新たなスポンサーになるのでは、と言及している。都市のサバイバルも含めたいろいろな面で、このようなスポーツイベントは社会の現状を問い直すベンチマークになってゆくだろう。
もちろん気候変動が収束すれば問題がない。ところがこの緊急課題は地球上のあらゆるプレーヤーが連携しなければ達成できない。その認識は今年1月のダボス会議(世界経済フォーラム)でも共有され、気候変動を主要テーマとして議論が進んだようだ。運営についても、会期4日の温室効果ガス排出量をオフセットする設営としている。中身の方はここでもグレタ・トゥーンベリさんの鋭い指摘があったが、政治家やグローバル企業が建前でなく積極的に踏み出すことを期待したいものである。
たとえば、ヨーロッパ諸国はサーキュレーション・エコノミーを打ち出し、気候変動と産業構造変革とを組み合わせようとしている。さらにそれをデファクト・スタンダードにする勢いすらある。そうなると建築生産にも影響は及ぶ。日本では、三村・日本商工会議所会頭が年頭あいさつに<社会課題をデジタル実装で解決してゆく>と述べていた(2020.1.7)。これが世界を引っ張るアクションにつながると頼もしい。オリンピック・パラリンピックの2020年こそ、日本が一層の存在感を発揮する年であってほしいものだ。

佐野吉彦

日本の政財界はどう動くか?

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