2014/03/05
No. 415
今や国際化と言うだけでは特に新鮮ではないと思うのだが、この日、若い8グループが報告した国際的活動の成果は、とても鮮度が高く明瞭な印象を残すものであった。主催者はJSB(一般財団法人・国際建築活動支援フォーラム)。3年前のUIA2011東京大会の成果を受け継ぎ、次世代の国際活動の後援に取り組む組織である。2月25日は補助を受けた活動の年次報告会で、JSBによって背中を押された若い世代が米・伊・仏・英・リトアニア・中・カンボジアに飛び、建築にかかわるオリジナリティのある活動に従事した成果が報告された。それは2国間のワークショップであったり、2国間の建築手法の比較研究踏査であったり、異国における建築技術の実証であったり。学部生の起案によるものから研究室単位、若いプロフェッショナルの取り組みまで、世代も視野も多様に広がっている。
海外に飛び出すことが、海外の先進事例を学習することと等しい時代は過ぎた。もちろん吸収すべき情報や知識は山のようにあるが、それ以上に日本から情報を発信する責任もある。日本における論究は世界に対して貢献すべきなのである。たとえば災害復興における課題や、都市を生き永らえさせるための課題。これをワークショップのような手段で共有しながら知恵を生み出すのはごく自然なアプローチ。さらにネットワーク技術を使いこなせる世代らしい視点で世界を渡り歩き成果を残せば、そこから予想を超える進化が始まるだろうと確信できる。
ではこれは建築の世代がゆっくりと移り変わる潮目と言えるのだろうか。実は若い世代が活動するために、資金を集めたり古いしがらみを解き放ったりする作業は、年かさの世代が汗をかく領域である。どの時代でも、多世代が巧く連動することによって良い着想は結実に向かうものである。