2015/02/11
No. 461
阪神淡路大震災の翌年の1996年、<阪神・淡路まちづくり支援機構>が発足した。呼びかけたのは神戸と大阪の弁護士会。建築士・税理士・司法書士・不動産鑑定士・土地家屋調査士といった職能にかかわる団体が呼応することで、被災者支援のための横断的組織が生まれた。現在は構成メンバーに技術士・社会保険労務士・行政書士の各団体が加わり、合計12団体を数えるようになった。建築分野からは、日本建築士事務所協会連合会近畿ブロック協議会、近畿建築士会協議会、日本建築家協会近畿支部が加わっている。ここには、被災地のローカルな課題ではなく、近畿として復興を支えてゆこうという思いがあり、体勢が整えられている。
復興プロセスには、移動した境界の再確定、住居の再建、防災に強い都市とするための再開発や区画整理など、手間のかかる課題が山積する。適正なプロセスでこれらがうまく取り運ぶよう、専門家の知恵が合わさって住民・市民をサポートできれば、とても心強いものになるであろう。一方で支援機構は、平時において、災害時に有効な法制度とはどうあるべきかを掘り下げ、整えておくべきだ、と提唱している。たしかに、状況にフィットしない法制度が復興の速度を遅らせかねないというのは、東日本大震災でもあった議論である。その点では、阪神淡路大震災の知見をふまえた専門家たちの提言と行動は大きな意味を持つのではないか。
なお、この連携のかたちはこの発足ののち、札幌(2000年の有珠山噴火を受けて機運が起こり、東日本大震災を受けて連絡会設立)、静岡(2003年連絡会設立)、首都圏(2004年支援機構設立)、宮城(宮城県北部連続地震を受けて2005年連絡会設立)、新潟(中越地震を受けて2004年連絡会設立)、神奈川(2004年連絡協議会設立)、広島(2011年連絡会設立)などへと広がった。それぞれ、震災を想定するものが多いが、災害は様々あり、地域によって重点を置く点は違うであろう。いずれにせよ、神戸での胎動は、地域自らが、知的基盤を築きながら未来を考える動きに展開したのである。