建築から学ぶこと

2023/01/18

No. 852

新たなつながりが未来を動かす

最近講演を聞いた若い起業家は、農業の未来に賭けるビジネスコンセプトを持っていた。その志は、既存の農業のシステムを作り直す変革に向かっている。すなわち、切り口としては農業にある課題を是正するだけでなく、消費者から見た農製品のありようをイメージしながら、農業の将来のかたちを掘り起こしているようであった。おそらく、既存のシステムや権益を守ろうとする限り、新しい市場の可能性は閉ざされると言ってよい。少々面白いことになりそうである。農業を凝視している起業家はほかにも数多くいるが、彼/彼女らがつながりあえば変動は起こるだろう。
別の日、新しく誕生したF市の小中一貫校(義務教育学校)を訪ねてみると、教室が並ぶ形式は維持しながらいろいろな場をしつらえ、クラスや学年を越えた学びができるよう工夫されていた。今回は5つの小学校と2つの中学校を統合してできた経緯もあり、地域住民の新たな結節点としての役割も期待され、そうしたスペースも用意されている。ここには、新しい教育の旗を掲げてみて、そこから新たな人材を輩出させようというチャレンジがあるようだ。もちろん、教員や保護者の意識の変革を促しており、なかなか壮大な取り組みであると言える。
農業や教育と同じように、建設業界が歩んだ道のりも長く、脱皮に骨が折れるところも共通している。しかし、材料費高騰や人材難という切実な課題を乗り越えるために建設DXを推進する、という問題の立て方では脱皮は望めないのではないか。それでは今の建築・土木の生産システムの維持を前提としているに過ぎないし、そのシステムも昔から同じであったわけでもない。新しいつながりをデザインするつもりで臨んでこそ、建設業の未来も拓けるのではないか。農業や教育との相互乗り入れをしてみても面白い。

佐野吉彦

新たな可能性のあるスペース(F市)

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