建築から学ぶこと

2010/06/23

No. 234

暑い土地の、静かな胎動

フロリダ半島南端のマイアミへは、ワシントンDCから2時間半のフライト。灼熱の天蓋に被われたような当地までやってくると、その先のカリブ諸国と指呼の距離という実感がある。6月10日-12日に開催のAIA(アメリカ建築家協会)大会は、例年より参加者の規模はやや少な目ながら(平年は約2万人)、いつもながらの賑わいを見せていた。

今年の大会テーマは”Design for the new decade”。10年先の2020年を見通すデザインを構想するという視点から、プログラムが整えられ、ゲストが選ばれていた。今年のジョージ・ミラー会長(ペイの事務所のパートナーである)は、さまざまな場面でのあいさつでつねにDesign Mattersという、中期5年戦略のキーワードを入れる。デザインが大事、という意味あいであり、良いデザインこそが死命を決する、というメッセージによって会員やこれからの会員を牽引しようとしていた。災害や経済変調に対応する一方で、建築家が社会においてどのような役割を果たしうるかを確認しようとしている。暑い街での冷静な問いかけである。

AIA/JIA定例会議では、更新された相互協定に署名したのち、CPD(AIAではCES)の相互乗り入れやオープンデスク(インターンシップ)の積極的迎え入れについて意見交換をおこなった。JIA単独でも取り組むべきテーマだが、ここは日本の建築界全体として連携してゆきたいところ。自己研鑽・次世代育成という視点は、手順の差はあっても、国際的には基本的認識は一致しているのである。各国協会会長が集結する会議「International Presidents’ Forum」での「建築家のプラクティス」・「資格相互認証」・「サステナビリティ・デザイン」にかかわる議論においても、立脚点はそう異なるものではない。これからの日本は、他国の事例の「いいとこどり」をして国内向けの決着を安直に図るより、国際的な協働作業で課題を乗り越えてゆくことが賢明であると思う。

ところで、展示会やセミナーでのBIM(Building Information Modeling)については、今年はやや静かな印象があった。2007年のサン・アントニオでの大会と比べると、かなり普及が進んだという状況もあり、導入の是非より、どのようなソフトをどのように使うのかという段階に駒が進んでいるようだ。BIM以外にも、静かさのなかに次への胎動は感じられるAIA大会であった。

佐野吉彦

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