建築から学ぶこと

2022/01/12

No. 802

確実にボールが前に進む年に

年が変わってラグビーの「リーグワン」が始動した。目指してきたプロリーグの姿がようやく整ったかたちである。社会人ラグビー時代に築いた基盤が残っているので、運営はこれまでの積み重ねに少しずつ手を加えてゆくだろう。しかしテレビで見ていても、プレイの鋭さがこの何年かで研ぎ澄まされていることが伝わるし、海外出身のスター選手だけでなく日本人プレイヤーの技も身体も引き締まっている。グローバルとつながる意識は大いに高まっている印象で、各チームが地域と連動することであらたな価値を共創できるかは今後のテーマとなる。

ところでケヴィン・ケリー氏(著述家/編集者)は<現代のテクノロジーは再編成されリミックスされた、かつての原始的なテクノロジーが組み合わさったもの>だと述べ、われわれは現在、<生産的リミックスの時代にいる>としている(*1)。新しいジャンルが増えればさらにそれらのリミックスが新しいものを生み出すという動きが起こっている。さらに、<これから30年の間に生まれる最も重要な文化的な作品や最も強力なメディアは、最もリミックスされたものだろう>と結ぶ。つまりスポーツだけでなく、カーボンニュートラルでも、地域の活性化でも同じだが、これまでの視点に異なる分野の知見を加えることで、確実に駒を進める姿勢が重要ではないだろうか。大きな変化はその先に期待できるというわけである。

一方で、急速な技術導入が問題を引き起こす実態もある。これについてケリー氏は近著で、その解決策は<「テクノロジーをへらしていく」ことではなく、「より多くの、よりよいテクノロジーをつくっていく」こと>であると語り(*2)、冷静に前を向くことを勧めている。おそらく今年は、20年前から平均年齢が4歳ほど増加した日本(*3)が、さまざまな面で停滞しないようにするべき年だと思う。

 

1 「<インターネット>の次に来るもの―未来を決める12の法則」(NHK出版,2016

2 「5000日後の世界」(2021年、PHP新書。大野和基による2019年のインタビューをもとに構成)

3 人口統計によれば2021年は1991年比で男は4.28歳、女は4.15歳増加

佐野吉彦

ニューオーリンズの名物・クレオール料理は混淆が生んだ新たな価値(photo:Victor Monsour of Monsour's Photography

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