建築から学ぶこと

2025/04/23

No. 964

世界に働きかける年に

万博の話を続けると、これは外交という観点から有効に使いたい。たとえば、会場を歩くとトルクメニスタンのパビリオンが目に焼き付くのだが、日本とのつながりがさほど強くはないこの国と縁を固めるのもよい。きな臭い世界情勢下にあって、こうして各国が平和にしばらく場をシェアするのは意義深い。さらに、二国間をうまくつなぐだけでなく、民主主義国家日本から、世界全体に向けて働きかける大事なチャンスである。大国が自国第一主義に傾いている曲面だけに、日本が前に出る責任もあるのではないか。
これまで、日本はいろいろな場面で世界に貢献をしてきた。たとえば国連難民高等弁務官事務所ではずっと高いプレゼンスを示している(緒方貞子など)。ほかにも、国際司法裁判所は、国際連盟のもとで1921年に設立され、1945年からは国連の機関として新たなスタートをしたもので、これまで日本から現任者(岩澤雄司)を含む2名が裁判所長を務めている。2002年になって設立された国際刑事裁判所は、戦争など人道に反する犯罪者を告発してきており、こちらの裁判所長も現在日本出身である(赤根智子)。そして、日本は国際刑事裁判所に最も多くの分担金を拠出している。残念なことは、国際刑事裁判所に125か国が締約している一方、米国・中国・ロシアが未加盟であることで、ロシアやイスラエルの暴発を止め切れてはいない。こうした現状に鑑みて日本弁護士会連合会は今年、敢然とした意思表明をしている。
ところで、新渡戸稲造(1862-1933)は、キリスト教徒でありエスペランティストであった。新渡戸はどこかに世界とつながる感覚があり、国際連盟次長として世界平和における責任感を備え、実際に紛争解決の成果を挙げている。2025年が、そのような日本人の活躍の背中を押す年になればよいと考える。

佐野吉彦

今年は4月18日が復活祭。ロシアが一時停戦を試みた。

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