建築から学ぶこと

2014/12/24

No. 455

シンガポールの、緑陰と湿度から

アジア圏には、日々さまざまな交易が行き交い、ビジネスや観光を目的とした移動には切れ目がない。まさに人と情報の<ブラウン運動>が起こっている。建築の将来はその動きに身を置いて考えてみようではないか、と呼びかけて短いアカデミックツアーを企てた。それが「東京理科大学大学院(工学研究科建築)/シンガポール建築ワークショップ」(13名。教員5+学生8)である。それに先立つ春に、私は客員教授として、グローバル化の中での建築設計のありかたについて講じたのだが、その続編である。

建築を見ることは重要だが、建築に関わるキープレーヤーに会い、各自が応力を直に感じるのがいいだろう。LPA(ライティング・プランナーズ・アソシエイツ)シンガポールの代表の葛西玲子さんのお世話で、勢いのある設計事務所SCDAWOHA、ランドスケープのチャン・ファイヤン(Chang Huaiyan)らの事務所を訪ね、私の友人であるリタ・ソウ(Rita Soh)に話を聞きにゆく。さらに、シンガポール国立大学建築学部の教員である坂元伝さん・田村順子さんの骨折りで同年次の学生同士(大学院1年対5年生)でプレゼンと議論の時間を確保した。明瞭な課題設定のある都市国家における視点、熱帯気候の中で緑を扱う戦略。刺激的でもあるが、同じアジアとして共有できる視点もたっぷりとある。

また今回、日本大使館ジャパンクリエイティブセンター(JCC)のスペースを借りて教員によるトークセッション+ネットワーキングレセプションを開催した。JCC所長に着任している伊藤実佐子さんの厚意で、話題提供的な発信が、的確なレスポンスを誘い出す場が実現した。多少、日本外交に貢献できたかもしれない。さて、この日も含め、雨季の12月の当地は時折激しい雨に襲われる。それを凌ぐために建築と建築の間は庇で滑らかに結ばれている。このツアーでも、そのような<繋がってゆく感触>をあちこちで得たが、大学にとっても個々にとっても、軽やかなゼロマイル標識になったのなら面白いことである。

 

佐野吉彦

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