2025/03/05
No. 957
年度初めの4月は、建築分野でも政策や制度の節目となってきた。改正建築物省エネ法はこれまでも進んできた義務付けがステップを刻み、木材利用の促進、マンション対策の推進は、すでにある動きを大いに後押しする政策である。後で述べる建築確認におけるBIM図面審査のスタートは、おおよそ1年後開始というところまできた。こうしてみると、専門資格者への期待はますます高まる。しかし現実には、1級建築士が手がけている仕事は一律ではなく、設計・施工・行政・不動産など各分野に分かれてそれぞれの最前線の位置に立っている。ぜひ、その立場にあることの誇りとともに、喫緊のテーマをより深掘りしてほしいのである。そこからのフィードバックが、より良い制度構築と成果を導くはずだから。
BIM図面審査について追記すれば、要領としては、申請者は「BIMで作成した申請図書(PDF)」を、「設計者チェックリスト」および「BIMモデル(IFC)」とともに提出する。つまり結局は2次元で審査するのだが、今の時点でもBIMモデルの参照などによって、審査期間が短縮されるという建付けになっている。今後は経験を積んでゆき、2029年に計画されている「BIMデータによる審査」の地ならしをする流れに乗ってゆく。では、そのころにはBIMの普及が飛躍的に進み、図面にも申請にも、BIMという冠が不要になっているだろうか。
それを実現するためにも、余分な図面作成を必要としない建築生産プロセスへの転換、各分野の主任技術者の責務の見直し、専門教育課程の改革なども進めてゆかねばならない。実際には建築プロジェトで生成し、維持管理などで活用される様々なデータがフィードバックしながらデータの社会基盤形成が進んできている。環境政策も集合住宅再編にも共通するが、BIMとともにある世界にはそうした循環的な流れがある。意外な細部から建築が変貌を遂げるかもしれない。
絶えざる流れは澱むことはないー島原市の古民家の庭