建築から学ぶこと

2017/12/20

No. 603

創造都市への期待

2004年、ユネスコは「創造都市ネットワーク」(Creative City Network)プログラムを開始した。「世界文化遺産」に比べると比較的新しい。現在72カ国の180都市が7部門(文学、映画、音楽、工芸、デザイン、メディアアート、食文化)のいずれかに登録されている。<文化の多様性>の視点から、個性的で能動的な活動に取り組む都市が選ばれるが、都市間の連携が期待されているゆえにネットワークと呼ばれるのである。また、4年ごとに評価が行われ、継続的な運営努力が期待されている。
文学部門におけるアイオワシティー(米)は日本から見て観光都市とは言えないが、アイオワ大学のクリエイティブ・ライティング・プログラムのグローバルな影響力はめざましい。リンツ(オーストリア)は、アルス・エレクトロニカ・センターがメディアアートの拠点となっている。いずれも長年にわたって人を育て続けているところは重要だ。そして、純粋にその部門だけが突出するのではなく、その他の文化活動と連動した動きが登録を後押ししているらしい。
日本からは浜松(音楽)、金沢・篠山(工芸)、名古屋・神戸(デザイン)、札幌(メディアアート)、鶴岡(食文化)に加えて、今年山形(映画部門)が加わった。山形国際ドキュメンタリー映画祭をはじめとする、映像文化における国際的な寄与、それを支える都市文化が評価されている。とりわけ映像は、他分野とクロスすることで価値を高め、発信力をより高める分野であろう。ユネスコはまた、山形が同じ映画部門、釜山国際映画祭で知られる釜山とも交流を深めることを期待していると思う。
日本国内では文化庁による「文化芸術創造都市」表彰が2007年から続いている。お互いが創意工夫によって都市間競争(あるいは共創)をしてほしいものだ。

佐野吉彦

山形の冬、人と人を結ぶネットワーク

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