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建築から学ぶこと

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難局の中で考える建築界の将来

建築の専門家は、自然災害の被害をどう技術的に防ぐか、発災直後・復旧復興に専門家の能力をどう提供できるかについては、経験の蓄積がある。しかし、いわゆる特殊災害(核、生物、化学物質、放射性物質、爆発物)や今回のような感染症には、未知の部分が多い。だが、どの災害も自らの組織のリスク、社会のリスクにつながる点では変わらない。何が起こっても、業務に携わる関係者はすべてが動きにくくなるので、平常からの建築計画への反映、緊急対応の準備が必要である。ぜひ建築団体については、とくに小規模事業者(建築関係者だけでなく、発注者も)への多角的なサポートを期待したい。たとえば、契約に沿った業務継続、あるいは業務途上での精算が滞りなくこなせるように。円滑に動ける制度やマニュアルの提言も行うべきだろう。
さていま、感染防止の観点から、人と人とが接触しないWEBによる会議・打ち合わせがある程度進んでいる。距離を越えるネットワーク技術が充実すれば、遠距離移動による打ち合わせがシフト可能になる。これは自然災害による交通途絶のケースにも適用できそうだ(応急危険度判定の業務にも一部使えるかもしれない)。建設現場を完全に遠隔地から指示・制御するのは難しいが、出向く回数を減らすことができれば、関係者が創造的な業務に充てる時間も増やすことができる。感染症終息後をふまえてこうした工夫は続けたい。
今回、建築分野だけでなく、面談でなくても済む仕事は多々あることがわかった。今春に国土交通省BIM推進会議がまとめた「BIM標準ワークフロー」には、建築生産プロセスを通じてデータを活かしてゆく視点があるが、そもそもBIM推進とはプロセス明瞭化・効率化を引っ張る使命があったはず。そうであれば、検定・講習・届出・登録・検査などの手順をWEBでこなすことも一気に進めてはどうか(図面保存や、BIMによる建築確認は先行している)。感染症のこのタイミングを、建築主や行政を巻き込んでのデジタル改革を進めるきっかけにしたいものである。

対話力は設計力

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