建築なんでも相談

建築から学ぶこと

2026/11/04

No. 1038

普遍性と希望のある取り組み

UIA(国際建築家連合)は、1985年から10月にWAD(ワールド・アーキテクチュア・デイ)を開催している。これはその年に定めた世界共通のテーマに沿って、加盟する各国の建築家協会が独自の企画を立てて、自らの学びを深めつつ、社会に働きかける取り組みである。テーマ設定は、UIAと関係が深いUN(国連)ハビタットの年次行動テーマ「すべての人に適切な住まいを(Adequate Housing for All)」と響きあっていて、今年は「住まいは人権。建てよ(Housing is a Human Right. Build it)」となった。住まいをめぐる問題について、建築家がそこで何をすべきかについて取り上げるというものである。

国連の推計では、世界の16億人が適切な住宅を利用できておらず、この数は2030年には20億人に増加する予想もある。それを生み出す要因は貧困や災害であったり、戦争であったりする。災害は日本を含むアジアでは身近なものだが、戦争の困難は日本ではなかなか想像がつきにくい。ともかく、世界には見えていない問題があふれている。

さて今年、JIA(日本建築家協会)はWADのキャンペーンに呼応して、2人の建築家・北川啓介氏と坂田泉氏によるオンライン・トークを企画した(10月30日)。北川氏はインスタントハウスを切り札として被災地に真っ先に駆け付けることで知られている。坂田氏は熱帯を中心に広がる黒綿土の、住宅への適用をケニアで実践している。リサイクル可能な明瞭な構法。土地が生み出した材料を活かす建築。そして人の尊厳を丁寧に守る住まい。彼らはそれぞれのアプローチで建築の基本に立ち返ろうとし、その場に固有の生産プロセス・協働作業を導き出している。もしそこで建築家として誠実で魅力的な答えを導き出せば、政治的対立さえ乗り越えられる。彼らはそのようにも確信しているのではないか。2人がタッグを組むとさらに面白いことが起こりそうでもある。

佐野吉彦

坂田泉さんによるプレゼン@バルセロナ、UIA大会2026

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