建築なんでも相談

建築から学ぶこと

2026/04/15

No. 1012

ウマと、ウマい酒があるところ

暖かくなると、競馬の春シーズンが幕を開ける。ダービーというのは初夏の季語でもあるが、著名なケンタッキー・ダービーがあるのも5月の初めである。ルイヴィルは水が豊富なので、馬はたっぷり水を浴び、人は硬水で醸造した地酒・バーボンでのどを潤す。豊かな水源に馬と酒が吸い寄せられるのはどうやら偶然ではないようで、日本では、東京競馬場のある府中には武蔵野台地の湧水があり、荒井由実の「中央フリーウェイ」はこのあたりを「右に見える競馬場、左はビール工場」と表現している(*)。京都競馬場の淀川をはさんだ対岸では、府中と同じサントリーが長くウィスキーとビールを造ってきた。
もっとも、これらJRAの競馬場選びに、最初からそういう意図があったわけではない。かつては競馬には軍馬育成とのリンクがあった。そして、競馬場の歩みは私鉄沿線の発展とともにあった。東京と京都に中山や阪神や中京の各競馬場を加えて並べると、これは野球場を凌ぐ、地域の揺るがぬランドマークである。メンテナンスは行き届き、絶えざる改修が続いている。
ところで、兵庫県西宮市の古地図を眺めていると、阪神甲子園球場の南寄りに、鳴尾ゴルフクラブと鳴尾競馬場が位置していた。結果的にどちらの敷地も軍需産業あるいは軍事施設に供用される。前者は昭和の初期に川西の丘陵地に移動し、後者は現在の宝塚ゴルフクラブの場所に移設が検討されながら中断され、戦後に現在の場所で阪神競馬場がスタートした。もし日本に平和で穏やかな国家発展があったのなら、西宮市はそのままスポーツの拠点都市になっていたかもしれない。興味深いことに、西宮市は日本酒醸造で有名であり、かつてはアサヒビールも工場もあった。酒に、馬と虎(阪神タイガース)が寄り添っているのも縁起の良い景色だ。

*歌詞には「調布基地」が登場するが、いま作詞したら、その跡地の「味の素スタジアム」が加わるかもしれない。

佐野吉彦

京都競馬場は「みずみずしい」

アーカイブ

2026年

2025年

2024年

2023年

2022年

2021年

2020年

2019年

2018年

2017年

2016年

2015年

2014年

2013年

2012年

2011年

2010年

2009年

2008年

2007年

2006年

2005年

お問い合わせ

ご相談などにつきましては、以下よりお問い合わせください。