2026/01/14
No. 999
国連では9月21日が国際平和デーだが、カトリックは、クリスマスを祝った後の年初の1月1日を「世界平和の日」と制定している。よく似た命名で、ねらいは共通すると言えるだろう。昨年カトリックの盟主となったローマ教皇レオ14世は、暦が2026年に替わったところで就任後初の「新年のメッセージ」を発出した。タイトルは<すべての皆さんに平和があるようにー「武器のない平和、武器を取り除く平和」に向かって>で、為政者にも、メディアにも、そして一人ひとりにも対決でなく対話を促している。心の中の障壁を取り除く、というのは本来キリスト教らしいメッセージである。
それと同じ意味合いで、恒例のウィーンフィルのニューイヤーコンサートの締めくくりに、今年の指揮者のヤニック・ネゼ=セガンが平和について語っていた。心の中の平和、まわりの人たちとの平和、国と国との平和があるなかで、それをもたらすものは優しさで、音楽は人と人を結ぶために貢献できる、というものだった。このコンサートでそこまで踏み込んだ話をする指揮者は希で、カナダ出身で、母語がフランス語のネゼ=セガンゆえに、教皇のメッセージを受けとめたかもしれない。聞きながら、建築の使命もつまるところ、いろいろな場面での平和の構築ではないかと感じたのだった。
ちなみに、今年の曲選は多様な文化・LGBTの視点などが加わって、程よくスパイスが効いて楽しませていたが、コンサート全体に、極端に振れてきた国際政治に対してソフトに異議を申し立てるメッセージが含まれていた。このところ、世界には武力による解決・国際合意なき行動が目につく。これらに決して同調せず、傍観せず、自らのプロフェッションや役目のなかでどう平和を編み出すことができるかを考える必要がある。なかなか重たい年の始まりである。
力による平和ではなく。