建築なんでも相談

建築から学ぶこと

2026/04/08

No. 1011

聖金曜日と復活祭

キリスト教の今年の暦では、4月3日はキリスト受難の日(聖金曜日)、5日は復活祭(イースター)だった。春到来の喜びの中で催される復活祭は、春分後の最初の満月の次の日曜日と決まっている。その2日前が受難の日で、これらの日付は毎年異なる。十字架で架刑された翌々日に、家族や身近な弟子たちに姿を現したのが<復活>であるが、この日に身体が本当に再現したかというより、ここからさき、語った言葉や姿勢を受け継いでゆく意思を象徴していることが重要となる。
その後、西洋でキリスト教が定着する過程で、降誕祭(クリスマス)、復活祭(イースター)と、そこから50日後の聖霊降臨の日の3つをクライマックスにして<1年の暦>がつくられ、毎週ミサや礼拝を催す<週のサイクル>ができた。復活祭では、イースターエッグや、春を運んでくるウサギが登場するが、これらは宗教とは関係なく、春のはじまりを祝う西洋の習俗である。
キリストの生涯を語る聖書では、受難に至るくだりがさまざまな人間の心理を立体的に描いていて面白い。それを題材にして多くの重要な芸術作品が生まれた。「最後の晩餐」(レオナルド・ダ・ヴィンチ)や「悲しみの聖母(ピエタ)」(ミケランジェロ)や「マタイ受難曲」(バッハ)と並べただけでも超一級である。
ところで、聖書は受難後の弟子たちのドライな行動を描いている。弟子ユダがキリストを裏切ったあと、信徒の補充の必要が出たので、信徒団はくじ引きで新メンバー・マティアスを選んだ。実証主義者のトマスは、キリストの刺し傷に手を入れて確認しないと復活を信じなかったので、そこから<ダウティング・トーマス>(疑り深い人)という今日も使われる成句が生まれた。キリストは、できれば見ないで信じるほうが幸せだよ、と諭すのだが。フォローしないと、人のふるまいが現代人みたいになってしまうのが面白い。聖書は文学としても奥が深いのである。

佐野吉彦

イースターエッグー新しい生命が宿る、春

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