建築なんでも相談

建築から学ぶこと

2026/07/22

No. 1025

彼らにはビジョンと覚悟がある、と信じたい

現在の建築設計の業務は、「建築士法」の50年の歴史とともにある。この法律は幾度か改正があったが、2006年施行の改正の影響は大きい。ここに定期講習などが盛り込まれて、建築士は継続的に学習すべきと法律で定められた。構造や設備の一級建築士がスタートし、資格試験における教育機関での課目要件が定められたのもこのときである。これは耐震強度偽装事件のタイミングだったが、1999年のUIA(国際建築家連合)北京大会で「国際建築職能協定」が採択されるなど、国際的な動きとも共振していた。
もう一つ、建築設計の業務に影響があったのは、2005年の「公共工事の品質確保の促進に関する法律」[品確法]ではなかったか。こちらの趣旨は十分納得できるものだが、実務者サイドの意向に基づいて生まれたものとは言えない。しかし、結果的にはこれらの法律に添う形で建築設計の日常は波乱なく進んでいるから、何ら異議を申し述べるものではない。法律を定める・改正するには国会の議決が必要だから、社会課題に向き合って中長期的な視点から国会議員が的確な舵取りをしたと信じている。いつでも、そのような熟議のある国会であってくれるなら実務者としては安心できる。
さてこの半年ほど、大阪と北陸各都市との間の移動が何度かあった。その都度、敦賀駅で在来線と新幹線の乗換えのための上下移動を強いられた。明らかに、とりあえず行けるところまで新幹線を繋いだ現実に振り回されている。これを政治的決断により京都(桂川)経由で延伸して解決したと言われても、ここから先、開通まで30年くらいという長い期間を中途半端な人流のかたちでやり過ごすのか(*)。鉄道会社だけに委ねる問題でもないだろうが、一連の政治の舵取りにビジョンや覚悟があったのだろうか。一方で、2007年の「地域公共交通活性化再生法」がうまくLRTを後押しできているというのに。

 

*せめて、同様の事業停滞がある西九州新幹線の、肥前山口駅の同一ホーム乗り換えのような円滑化は必須だろう。

佐野吉彦

滑らかな鉄道は、人を心地よく動かす(バルセロナ)

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