建築なんでも相談

建築から学ぶこと

2026/06/24

No. 1021

固有性と普遍性とー台湾で考える(続編)

台北にある、安井建築設計事務所の台湾事務所は、前回紹介した「大稲埕(だいとうてい/ダーダオチェン)」地区にある。ここには台湾最古の問屋街である迪化街があり、大稲埕の目抜き通りである延平街には、日本統治時代の20世紀初頭の建築が多数残り、歴史的な景観を形成している。台湾事務所も、台北市指定文化資産登録建物で、かつては「万順号靴店」として使われていた。
私は、ロータリー・インターナショナルの大会への参加者に、このような都市・台北のルーツを見ていただく趣向もよいのではと考え、事務所の1階スペースを使って、各地のクラブを繋ぐレセプションを計画してみた。声をかけた中で来訪があったのが、私の属する大阪RC(ロータリークラブ)と姉妹クラブであるメルボルンRCとソウルRCの人たちであった。わざわざ、大会会場とは離れた不慣れな場所に立ち寄ってもらえたということである。こういう新しい「補助線」からつながりが生まれるのはとても嬉しい。準備は大げさなものではないが、ひと手間掛けてみた甲斐はあった。
いま、大規模な大会の運営はどんどんデジタル化や効率化が進んでいる。大会の魅力や効果とは、必ずしも数値化して計測できるものでもない。むしろ、参加者は大会に参加した実感を得るためには、このようなスモールギャザリングを必要としているのではと考える。私が建築分野の国際大会に参加を始めたのは1990年代後半のことだったが、振り返れば大都市での開催のほうが自発的でスモールな場を設営しやすいように思われる。
さて、この大会ではジェネラルセッションに登壇したマララ・ユスフザイさん(人権活動家/ノーベル平和賞受賞)の存在感が印象的だった。彼女に宿る、前に進む強いエネルギーと、脱皮する志は物凄い。その生きざまにある、彼女に固有の問題意識は、私たちに普遍的な影響力を及ぼしている。参加者はそうした普遍性と固有性の両方を経験しに来ている。

佐野吉彦

台北の記憶。

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