建築なんでも相談

建築から学ぶこと

2026/07/01

No. 1022

BIMの新たな季節が始まる

この春、確認申請の新たな制度「BIM図面審査」がスタートしている。今後データ審査へと進化してゆくとともに、建築界の実務全体における労力削減効果は出てくるだろう。確かにそうしたデジタル活用による効率化の試みは、人材難・働き方改革といった社会の動きの視点では歓迎すべきところではある。一方で、未来に向けたは建築生産の改革はそれだけでは進んでゆかない。デジタル活用によって、BIMの活用によって、建設単価上昇基調のもとで早期にコストを把握し、建築プロジェクト進捗の後押しにつながるなら、社会的意義がある。法律の要請が厳格になってきている環境配慮型設計は、目指す数値目標を達成するためにBIMが大いに活用できる。さらに、竣工後に適切に図面データを維持管理に活かすのは、既存ストック活用という社会の流れに沿うものである。
すでに、質の高い建築と、チャレンジ精神に満ちたデザインの実現にBIMの力は活かされている。今後、不動産投資や建築の価値判断、あるいはさまざま起こる社会課題を解決するのにも、BIMによって紐づけた図面とデータが議論と意思共有の基礎になることは間違いない。まさに宝の山と表現できるだろう。
そして、BIMは個人と組織と建築界を変える契機になる。踏み込んで言うなら、設計者としていろいろな面でクリエイティブであり続けるためのきっかけを与えるのがBIMである。効果的に協働・連携するためにBIMを使ってどう工夫を重ねるかという点では日本のものづくりの良い伝統をも前に進めるのではないか。さらにAIを能動的に使うことで可能性は広がる。
そのようにしながら、建築の専門家と設計組織は、これからも社会と地域のために有益となる成果を導き出してゆかねばならない。BIMは、社会の困難を解決するものであり、対話を引き出すもの、良い知恵を持つ人たちを結びつける。BIMとデジタルの未来は幅広い交わりの中に育つのである。

佐野吉彦

BIMで何が変わり、何を変えるか

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