2026/08/26
No. 1029
久しぶりに岡山県立図書館(2004)を訪ねた。ここは150万冊超の蔵書に加えて、14年連続で入館者数と個人貸出冊数が日本一だったという。元鳥取県知事の片山善博氏は、<図書館は、民主主義を下支えする「知のインフラ」であり、もっと言えば「民主主義の砦」>だと語り、在職時は図書館行政を地域振興の中核に据えていたという(2026.7.20 朝日新聞)。今年は同じような規模の石川県立図書館(2022)を訪ねたが、大きな吹抜を持ち、こちらも賑わいのある図書館である。どちらも、人が集まって来るだけの要因がありそうだ。
岡山では、岡山城址の一角に県庁とともに図書館があり、石川県都・金沢では城の外郭にあった金沢大学跡地に、金沢美術工芸大学とともに図書館は移ってきた。明らかに街の景観をリードする存在である。こうした経緯がある図書館に自然に風格が備わるのは当然であろう。もっとも、そうしたところは、近年取組みが進む、コミュニティに馴染む図書館のフレンドリーな表情とは違うように思われる。
さて、地方図書館は、とりわけそのエリアの資料の蓄積が厚いのは当然である。しかし、スタッフの地域への責任感、機動性ある努力なくしては訪問者の学びの成果は生まれない。この日の岡山県立図書館では、テーマごとの読書ガイドが豊富に用意されていた。特別コーナーではハンセン病に関する資料の展示があり、私も岡山に施設があることは知っていたが、大阪の施設が水害に遭って岡山に移転したことをここで初めて知った。この図書館における居心地の良さは、そうした知の掘り起こし・遭遇がつくるものだろう。県庁所在地の顔である公立図書館の風格とは、そのようにできている。なお、隣県・広島駅前には、当地の交易の歴史から、原爆、文学をカバーする資料に支えられた広島市立中央図書館がある。そこから広島の街が一望できる。図書館は、街への愛情を育み、人を大人にする場所なのである。
岡山県立図書館の向こうに県庁。