2026/09/09
No. 1031
7月の初めにUIA(国際建築家連合)の理事に選任されてから2か月、そろそろ本格的な活動が始まる(オンラインでの議論が中心)。この期間にも戦争は続き、北半球は酷暑に覆われ、ネパールと中国を土石流が襲った。どれも等しく世界が向き合うべきできごとであり、具体的な解決に向けては、さまざまな国際機構がそれぞれの専門領域をしっかり押さえて動くことになるだろう。重要なのは公正さと長期ビジョンである。UIAも、そこへ向けて自らの使命、すなわち建築家の使命に添って努力するとして、平常からUNESCOやWHOといった機構と連携して答えを出すテーマは多い。国際機構が果たす役割はそれぞれ、さらに大きくなる。
ところで個人の国際犯罪を裁くICC(国際刑事裁判所)に対する米国の制裁圧力が昨年から強まってきて、この8月には赤根智子所長に対する制裁が発動した。発動をめぐる論評はここでは掘り下げないが、いま、公正な裁定を基軸とするこの国際機関しか果たせない使命があるはずである。その赤根氏は、かねがねICCの日本事務所を設置してはどうかと提案していた。ICCが身近であることは、日本国内での法の運用に国際的な見方(戦争犯罪や人道犯罪への対処)を還流させる好機でもあるし、日本の若い人材がこうした国際的な活動に参加するきっかけをつくる。それはまた、アジア諸国での締約国を増やす力となり、あるいは日本が近隣諸国に法整備の支援をする際の力になるだろう。日本はICCへの最大の資金拠出をしているだけに、そうした積極性があってよいのでは、と語っている(*)。
とは言え、国際機構がすべての国の要望を調整しきることは骨が折れる。まして政府間組織でないUIAの場合、できることは限られる。建築に関わる法律はそれぞれの国で違うが、多くの共通点もある。行動において共有できるポイントを絞って取り組むことは、それぞれの国においても、世界がよりよい未来をつくるための力となる。
(*)「戦争犯罪と戦う」(赤根智子、文春新書2025)
UIAはどんな力を持ちうるか(バルセロナでの総会にて、2026.7)