建築なんでも相談

建築から学ぶこと

2026/09/30

No. 1033

世界地図が変わった9月

国連は、 2026年9月4日の総会で、「イコールアース図法」(the Equal Earth projection)の採用を決めた[賛成164(日本も含む)、反対1(米国)、棄権6]。これを受ける形でUIA(国際建築家連合)は、9月11日開催のカウンシルミーティング[セッション2]で、同図法の採用を全員一致で決定した。
一般的に良く目にする「メルカトール図法」は経線と緯線が直線なので使いやすいが、高緯度では実際より広く表現される。巨大なグリーンランドよりも、実際にはアフリカ大陸の方が14倍あるのだが、そのようには見えてはいなかった。2018年に開発されたイコールアース図法はここにある明らかな欠点を補い、ゾーンの面積が正しく表現されるよう改善したものである。ただし、正積という趣旨に沿い、緯線の平行は保ちながら、経線は曲がり、縦横比は変わる。「中央経線」をグリニッジの軸に定める限り、端部にある日本のかたちは少し歪んでしまうが、アフリカ大陸の存在感が大きくなったのは一目瞭然である。そこは、アフリカ諸国は歓迎するであろう。
実は、イコールアース図法は、政治的アピールや公正さの実現というよりも、人口分布や環境汚染範囲など、世界の実態を正しく・わかりやすく把握・比較するために有効なのである。それは国連やUIAといった国際機関にとっては、喫緊の動きや危機の予兆を見通すには有用だろう。しかし、各国に使用を強制するものではない。また、イコールアース図法はどの場合でも優位な図法ではなく、日本周辺海域にまでこの図法をわざわざあてはめる必要もない。メルカトール図法は健在である。ほかにも、ある地点からの距離や方位測定には「正距方位図法」は有効である。今回の国連とUIAの採択は、私たちが日常的に使用目的に沿って地図を選択しているように、それぞれの活動趣旨にかなう図法を見出したということである。

佐野吉彦

情報過多と、図の美しさの両立は至難

アーカイブ

2026年

2025年

2024年

2023年

2022年

2021年

2020年

2019年

2018年

2017年

2016年

2015年

2014年

2013年

2012年

2011年

2010年

2009年

2008年

2007年

2006年

2005年

お問い合わせ

ご相談などにつきましては、以下よりお問い合わせください。