2026/10/07
No. 1034
安井建築設計事務所(大阪)のある場所は、大阪城に程近い北大江地区にある。5分も歩けば大きな石垣が見えてくるところだ。空襲にも遭ったが、時間をかけて良好な住宅地となり、楽器店も品の良いバーも点在する、いい感じの街に成熟した。この地では20年間、10月上旬に音楽祭「北大江たそがれコンサートウィーク」が地域主体で運営され、北大江公園や、いくつかの事業所がロビーなどを公開するなどして、コンサートを開催してきた。安井建築設計事務所もその一つ。今年から「北大江の宵」と名を変え、音楽以外のメニューも加わるなか、音楽に出会う機会に恵まれてきた私たちの事務所はコンサート開催を継続することにした。
今回お招きしたのは、私がご縁のできた大阪音楽大学(大阪府豊中市)の学生たちのアンサンブルである。音楽祭はあっても、北大江の人々が音楽を学ぶ学生と会う機会がそうあるわけではない(そもそも街に大学生は少ない)。それを実現しようと考えた。おそらく、音楽大学生にとっては、街に出て自らの音を奏でることは、将来にとっても重要な学びとなるだろう。プログラムの前半はホルン四重奏、後半はクラリネット四重奏という珍しい編成だったが、今回は大阪音楽大学が誇る楽器コレクション(楽器資料館蔵)を展示したり、演奏したりする機会を伴った。そういう意味では、このコンサートは地域・事業所・大学それぞれにある独自なものを組み合わせて成立したものである。
このコンサートは基本的に無料であり、近所の人たちも赤ちゃん連れで参加もできる。今回は、大阪城から帰ってくる外国人観光客2組4名が立寄って聴いてくれた。ここはそういう通り道でもあるので、いつか立寄ってくれないかと思っていたのでとても嬉しい。旅はスペシャルなものだから、彼らにもこの希なる音はうまく響いたのではないか。次のオープンハウスは生きた建築ミュージアムフェスティバル大阪(10月24・25日)である。
この長い楽器から、やわらかな響きが。